死後事務委任契約
ときどき病院や施設から死後事務の相談を受けることがあります。
死後事務とは、本人(契約者)死亡後に次のようなことを行う契約のことです。
○菩提寺・親族等関係者への連絡事務
○通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務
○医療費、老人ホーム等の施設利用料その他一切の債務弁済事務
○賃借建物の明渡し及び当該明渡しに伴う内部動産処分に関する事務
○行政官庁等への諸届け事務 など
相談を受けてからの基本的な流れは、
①本人と面談し契約意思の確認、契約締結
②公証役場に死後事務契約書を提示し、確定日付をもらう
③死後事務に備え現金約100万円を当事務所で預かる、または施設等に保管してもらう
④本人死亡後、契約内容に基づき死後事務実行
⑤本人の相続人調査、連絡
⑥死後事務の報告書、残余財産等を相続人に引き渡す
といった感じになります。
死後事務の執行報酬は各事務所によって異なります。
当事務所では30万円~50万円いただいております。
死後事務のネックは死後事務受任者を指示監視する公的機関が存在しないことです。
この点は成年後見制度とは違います。
本人死亡後、死後事務受任者が現金や本人の通帳等を受け取りますが、
その管理方法や使い途について指示監視する者がいないのが通常です。
不真面目な受任者であれば、
本人が死亡したにもかかわらず死後事務の仕事を実行しないことも起こりえますし、
お金に困っている者が受任者の場合、
死亡した本人の財産を横領するリスクがあります。
(成年後見制度の場合、家庭裁判所などが後見人の仕事内容や財産の管理方法等について厳しく監視しますので、「仕事を真面目にしない」とか「財産を横領される」リスクは死後事務と比べると低いです。)
死後事務を誰かに頼む場合、「受任者は信用できるのか」より慎重に見極める必要があります。