生活保護受給者の後見制度利用
生活保護受給者など財産のほとんど無い方が後見制度を利用したい場合どうすればいいのでしょうか?
後見制度を利用するには印紙代、戸籍除籍謄本等の収集費用、医師の診断料などの実費が2万円から3万円ほどかかります。
上記費用に加え、場合によっては精神鑑定費用として約5万円がさらに必要になります。
裁判書類の作成を司法書士等専門家に依頼した場合は、約10万円報酬として支払う必要も出てきます。
後見等を開始しようとする場合、ざっと見積もって総額15万円から20万円ほどの出費は覚悟しなければなりません(ただし専門家に書類作成を依頼しない場合は、上記金額から約10万円減額されます)。
「財産が少ないため15万円から20万円も現金を用意できない」
「でも成年後見制度を利用したい!」
という場合、どうすればいいのでしょう。
ケースによりいくつか方法が考えられます。
①本人の判断能力がそこそこあり、かつ本人が後見制度利用に前向きな場合
法テラスを利用した本人申立てを検討します。
法テラスの審査が通った場合は、医師の診断料を除く実費、司法書士等専門家の報酬、精神鑑定費用を法テラスが立替払いしてくれます。分割による返済が難しい場合は、返済の一部または全額を免除される可能性があります。
なお、法テラスとの契約手続は当事務所が代行いたします。
②本人の判断能力が著しく欠く常況(後見相当)、または本人が後見制度利用に消極的な場合
親族による申立てを検討します。
後見等開始申立て権限のある親族の範囲は、配偶者と四親等内の親族です。
原則的に申立人である親族が後見等を開始するための費用を負担する必要があります。申立人である親族の資力も乏しい場合、親族の法テラス利用を検討します。
③上記②の要件に加え、親族の協力も得られない場合
市町村長による申立てを検討します。
市町村長申立ての場合、後見等を開始するための費用はすべて市町村が負担してくれます。ただし、「後見制度の利用までかなりの日数を要する」、「後見人の指定ができない(どんな人が後見人に就任するかわからない)」などのデメリットもあります(和歌山市の場合)。
なお、本人にそこそこの判断能力がある場合は、本人を後見等開始の申立人とすることを求められ、市長申立ては原則利用できないという運用がされています(これも和歌山市の場合)。
「法テラスの利用も市町村申立てもできないが、どうしても生活保護受給者のために後見制度を利用したい」といったケースが生じた場合、お気軽に当事務所にご相談ください。司法書士報酬であれば適宜減額または免除いたします。